くりぃむしちゅ〜 上田晋也の「知ってる?24時。」

03年4月から深夜24時〜25時に、LF(ニッポン放送)放送開始されている深夜番組。
なぜか昨年から気になってしょうがない。
「お笑い界のうんちく王」と言われるくりぃむしちゅ〜の上田がパーソナリティ。
番組は「謎のナレーター(バーレスクエンジンのコハ・ラ・スマート)」による「鈴木亜美の新曲CDは書店流通だったからオリコンチャートに載らなかったって知ってる? 古橋秀之秋山瑞人の妹弟子が第130回芥川賞を受賞した金原ひとみだって知ってる?」とかいったうんちく語りをオープニングにして始まる【古橋・秋山・金原親子の関連って知られてなかったんだね。2CHで結構出ていたので有名かと思った】。なぜかナレーターと上田はまったく話さない。

このプログラムを異彩なものにしているのは、
1) リスナーとパーソナリティ上田とのタメ口な関係
2) メールに対する上田のクイックレスポンス
の二つだ。

1)リスナーとパーソナリティ上田とのタメ口な関係
普通、リスナーとパーソナリティの関係は、年上の兄貴・お姉さんに年下の若者が話すという擬制をとるはず。「鶴光師匠、こんにちは」「福原さん、こんにちは」「三宅さん、こんばんは」「松任谷さん、はじめまして」とか。それで、まぁ心の交流っちゅうか、普段は話せない話題をふっちゃったりする訳だ。いや青いね。
このプログラムでは、CMあけにリスナーからの声の録音テープを流す。そのリスナーからのケンカ腰の呼びかけがとにかくこの深夜ラジオを異彩の放つモノにしている。
男子リスナー「おい、上田!」(クラスのパシリに向かっての感じで)
女子リスナー「ねぇ、晋也」(甘いおねだり風に)
と完全ため口だ。しかも「音声」で。
番組宛に面白いメールを多く送っていると、番組スタッフから声の出演しませんか?といった感じで連絡が来るらしい。それが変質してきたのは昨年の6月くらいか?
とりわけ、電話でおこなう「知ってる?クイズ」はオープニングはスゴイ。番組ディレクター、偏差値76早稲田卒の八島ディレクターが出す難問に10分以内に答えられたら1万円というまぁ良くあるクイズな訳だが……。とりわけ女の子が出場者の場合を一聴することをお勧めする。

ねぇ晋也、私ヨ、亜沙子。クラスのミンナと同じように私もいい加減カメラ付き携帯に機種変更したいの。だから1万円ちょうだい。そうしたら熱いキスをあげるわ。でもね、いいこと、あなたとは所詮金の繋がりなのよ、勘違いしないで。外であっても話しかけないでよ!

女子中学生によるキャバクラ嬢ばりのトークを聴く機会は、なかなかないのではないだろうか。しかもいつも、最後は喧嘩口調……。

2) 即時メールに対する上田のクイックレスポンス
番組を聴いてる中高生層は、確実に部屋にパソコンを持っている人間が圧倒的に多い。しかもおそらく確実にラジオを聴きながら、バリバリと番組サイトのメールを送っている。
それを上田の方も助長して、葉書職人が書いた葉書を読むというレスポンスではなく、即時的にセンスの良いリアクションを送ってくるメールの方を優先して読んでいる。
しかも……上田の突っ込みが上手い。高田文夫の分析だが、これはフジテレビの深夜番組「ロバートホール」において、あらゆる芸人に対する突っ込み役……その突っ込みがかなりインテリジェンスな訳だが……をこなしているのを番組スタッフとリスナーが分かった上で、これは「上田が捕れる球ぎりぎりかな?」と感覚的な試しを入れつつ、上田をいじっている。
リスナーとの即時的なレスポンスは、深夜ラジオ始まって以来なのではないのだろうか? リスナーの部屋に個人用パソコンがあるという状況が、はじめてこの形式を可能にしたわけなのだが……。
FAXの出現が、ラジオ番組を変えたというのも、家庭へのFAX普及が顕在化したここ10年によく言われる。メールの出現も投稿形態を変えているはずなのだが、結果的にFAX投稿と大きく変わった使われ方をしていない。
が、上田は確信犯的に、FAXを超えるメールのアドバンテージをレスポンスを使いこなしている。なんか面白い。

番組解析はまた今度。