なぜ英語は分数を分子から読むか?:『数の現象学』森毅、朝日選書

忙しくてどうしようもないけれど、待ちが長いという時には軽く読める本を読んでおくとなるとノンフィクションの新書が良かったりする。とはいえ大量に買うと馬鹿にならないので、安く古本などを買う。でも最近、新書の古本の棚もどんどん少なくなっているのが辛い。
この本に書かれている分数の話が面白かった。
日本では2/3を、「3分の2」と分母→分子の順番で読むけれど、英語だと「two thirds」と分子(numerator)→分母(denominator)と読む。
森毅に言わせるとそれは

日本では中国分数の『三分之二』が原形にあるのに対して、ヨーロッパではギリシャ分数の『2:3』という比が原形になっているから

らしい。そういえば、確かにピタゴラスの話なんかを見ると、そこに西洋音楽の歴史が絡んできて、弦の長さの「比」を表して音の高さを論ずる話が、その絵とともに良く出てくるのを思いだす。
ようするに、中国分数では2/3を「3つに割ったウチの2つ分」と見るのに対して、ギリシャ分数では「一方が2に対して、他方は3」と見るのだそうだ。
1より小さい数を表していくなかで、

エジプトやギリシャのように「分数」を主として使った文化と、中国・印度・バビロニアのように「小数」を主として使った文化とでは発想が違う。

とのこと。
面白かったのでギリシャ文明が、中世において保存されたアラビア語においてはどうかを調べてみたが、すぐにはよくわからなかった。
このあたりが和算とかにも影響を与えている訳か。面白い。

◆英語での帯分数の表現

http://allabout.co.jp/study/bizenglish/closeup/CU20041025A/index.htm
いや、さすがに忘れてきているな。どうしても入試とかでは文系文書を読ませることが多いために、数字表現とか科学表現のバリエーションを少なくとも高校教育ではあまり教えないのが脚ひっぱっているのかなぁ。
英語の勉強もしなきゃと思っているのだが、時間がない。やせなきゃいけないし大変だ。