神to戦国生徒会 第二回「あかほりさとるのデミ・ヒューマンへの指向」作品論

まさか「KO戦記ビースト三獣士」で来るとは思わなかった。自分の中で思い入れの強い作品とは聞いていたが、よりによって失敗作を引っ張ってくるとは……。これは予想外。
あかほりさとるは、基本的に亜人間・疑似人間の話が非常に好きだ。もう少し分かり易く言うのであれば、デミ・ヒューマン、デミ・ゴッドと英語で説明した方が伝わりやすいか?
注文によって何でも作ります……という営業方針をとっているとあかほり自身は言っているし、周囲もそう見ている場合が多いが、実は注文によって作られた作品というのも、あかほりの「デミ・ヒューマン好き」という指向を明瞭に反映している。
デビュー作はアニメ「ホワッツ・マイケル」であり、世に出た出世作という意味では「天空戦記シュラト」だ。そして初めて作った音声ドラマ制作(CDドラマではない、当時はテープだったから)は、田中芳樹の「ウェディング・ドレスに紅いバラ」という吸血鬼主人公の話だ。
そしてSFを作ろうとして作ったのが、変容してしまった人間を描いた「テッカマン・ブレード」であり、「SMガールズセイバーマリオネットJ」だ。
何かで聞いたか読んだかしたのだが、「サイボーグ009」と「フェザータッチ・オペレーション」がすごく好きらしい。
これを見る限り、あきらかにあかほりさとるの作家性はココにある。あかほり自身が気付いていないに等しいが、なにかこのデミ・ヒューマンという存在について書きたいものや作品論、ひょっとしたらトラウマがあるのは間違いない。彼の原点は、ちょっと悲哀も交えた変容した人間と普通の人間のホロッとしたドラマなんじゃないかとオイラは考える。それを最も声高に主張するのは、オイラの師匠のSさんなんだけどさ。
でもね〜、そのことをあかほりさとる自身が分かっていないから。自分の成功法則は「中学生チックなエロ」だと思いこんでいるから。中途半端な金銭的成功の原因をこの「中学生的なエロ」だと思いこんで、自分の作家性を押し込めてしまっているからしょうがない。
規模こそ違うが、この勘違いは鈴木光司の勘違いと非常に近しい。
再度あかほりさとるを本当に理解している編集者と出会って欲しいと思う。
もう神to戦国生徒会は読む必要ないだろう。