ヴァン・ヘルシング

前情報やら事前にノベライズを読んでいたので、正直楽しめないかとも思っていたのだが、有る程度割り引いておいた上で見に行くと楽しめる。ジェットコースター・ムービーの良作。
女優を綺麗に撮るなぁと正直びっくりした。ヒロインのケイト・ベッキンセールにせよ、ドラキュラの花嫁三人衆にせよ、実際の映画を見ると宣伝パンフの3割増しで綺麗に見える。花嫁はポスター見ると「駄目駄目じゃん」と思えるのだが、映像や来日会見での素顔を見ると意図がよく分かる。
もっともドラキュラも花嫁も声を上げて泣いちゃうので、通例の冷血さなんかを期待すると違う感じに思えるのだろう。こういった旧来の名作とのズレ(実際見ると継承している点も多い)のせいで、公開するまでは海外のホラーマニアには叩かれまくったらしい。
ヴァン・ヘルシングの正体は、知り合いの外国人に聞いてみたが、キリスト教徒が見ると明石家さんまブラックデビルくらいバレバレらしい。その意味で「ヘルシングの正体という伏線未消化」は、適当な非難ではないかもしれない。
脚本は隙が多い感じ。説明不足も含めてここを直せと皆が言いたくなるのは分かる。「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」は、ギャグで笑いも取りつつあれほどバラエティに富んだアクション・ムービーを作れるのだから、スピルバーグはやっぱり天才なのだろう。ただそれでもソマーズの今回の設定力は素直に面白いと思った。
今回のヴァン・ヘルシングは思い入れが強かったのか、監督であるソマーズが一人で脚本を書いているのでその弱さが出た感じ。別の脚本家も入れるべきだったと思う。神様・スピルバーグでも、「未知との遭遇」のセルフ・リメイク「TAKEN」を見ると思い入れが強いのか、正直ムムムと思わされたし。いや「TAKEN」は秋山瑞人小川一水あたりにシナリオ直させた方が面白い。