米澤嘉博氏と私


訃報

米澤嘉博氏には、某所でのコラムで2年弱ほど仕事をさせていただいた。最後にもらったコラムが「ハリスの旋風」についての600字の原稿だった。
米澤氏の原稿は手書き原稿で、原稿用紙の最後の一マスまで依頼されたとおりの文字数でぴったりとお書き上げいただくことにビックリしたモノだ。
まだまだおうかがいしたいことなど多数あったのだけれども、それも無いままに終わってしまった。本当に残念だ。氏と氏が心血を注ぎ込んだコミケがなければ、私の仕事の一部以上が成り立たなかったのは間違いない。
一昨年「ライトノベル完全読本」をお読みいただいて、「このお蔭で『コミックマーケット30年史』をつくるのが楽になりました」と笑ってもらった時に感じた誇らしさは、オタク文化の一角を担っていた者として、他に換えられようもなかった。
私が発掘したイラストレーターが、コミケの紙袋(大)のイラストを描いたこともあった。それもやはり誇らしかったし、ある種「認められたなぁ、よかったなぁ」という満足感と達成感があった。米澤さんは、かのイラストレーターと私の関係を知らなかったので、彼に関して語りたいこと・伝えたいことも多々あったのだけれども、その機会も永久に失われた。
今年はサブカルチャー方面において亡くした人が多い。現在、各種のメディアにおいてオタクコンテンツが、「日本文化のエース」として扱われており、それはサブカルチャーがメインカルチャーになった証左ともいえるが、その勢いも無くしているような気がしないでもない。それは非常に惜しまれることだとも思う。
ご冥福をお祈りいたします。