内田樹×高橋源一郎対談「竹信悦夫の天才性の解析」を読んだ。

積読になっていた「ワンコイン悦楽堂」を読み終えた。
小学生の頃から「伝説の天才」と言われ、高橋源一郎が作家になる契機を作り、内田樹レヴィナス研究に導いた”怪人”武伸悦夫が、古書店でのワンコイン本(500円以内で買える本)のみで構成した書評集。
巻末の内田樹×高橋源一郎対談「竹信悦夫の天才性の解析」が目当てだったが、本編も面白い。これも話題になっていたしな。
恩田陸新城カズマがよく描くモチーフに「田舎の天才少年少女」がある(まぁ天才病の少年少女といってもいいが)。巻末に収録された内田×高橋対談「竹信悦夫の天才性の解析」は、こういうモチーフが好きな人は必読だ。
《中学生にして万巻の書を読み尽くし、中学生の時に書いた詩「トロイヤ戦争犯罪人」が、寺山修二に激賞されて「現代史手帖」に史上最年少で特選入賞。高校生にして「小林秀雄論」を書いた途方もない早熟の天才》の学生生活を知る上での資料になっている……。
その後、朝日新聞の記者になってから、「早熟の天才が陥ってしまったピットフォールとどのように向き合っていくか」という、これまた青春小説で欠かせないモチーフに資料を提供してくれる。
本書「ワンコイン悦楽堂」では、明るい諦念と作ったキャラクターの背後に隠された知性が感じられる、面白い書評本になっている。とても不思議な感じだ。

ワンコイン悦楽堂

ワンコイン悦楽堂