面白かった文庫本2冊


1巻に引き続いた刊行された宇宙商人タフの物語。ただ個人的には1巻の方が面白かったと思う。期待していたス=ウスラムの人口爆発問題の結末に関しても、わりと予想範疇を出ていなかった。
とはいえ、近時になく面白い皮肉の効いた話であるのは間違いないので、1巻を楽しめた人が買ってソンはないと思う。
でも1巻だけでも良いかも。

五代ゆうの待望の新刊。
ヴィクトリア女王時代のイギリスを舞台にした十年ぶりくらいのライトノベル。主人公は日本から魔物退治の修業にやってきた気の弱い十六歳の少年。そして男装の大魔術師「パラケルススの娘」こと、クリスティーナ・モンコーフォンと銀髪も麗しいメイドのレギーネ
神霊趣味に湧いている19世紀のロンドンを描いている趣味の良さかが面白い。ライトノベル的なお遊びを入れつつ、文章を読む人に向けてロマン小説的なステロタイプな登場人物を配して、ヴィクトリア趣味までもみっちりと書き込んでくる辺りはさすが。
実売でMF文庫Jのトップにたったらしい神野オキナも加えて、MF文庫Jにおいて目を通しておかなきゃならないベテラン作家がまた一人ふえた感じだ。
個人的には「考え浅いけれど、自身を正義の体現者と思い込んでいる子供好きな」リース警部が一番好き。いやこういうのが出てこなきゃいけない。あと背後には「大英帝国版・帝都物語ちっくな計画」などもあったりして、今後の期待大な作品だ。