有名なことなので書くまでもないのだが、アクセス数が増えているからオマケ。
源流は滝川羊だと思うが、上遠野浩平を経て西尾維新に至る中で、キャラクターの名前をいかに際だたせるかという漢字ネーミング技法が使われている。
殺人鬼には殺人鬼らしい名前をつけたりとか、日本語語法的にあり得ない名前を付けたりなどである。
それは海外の最先端エンターテインメント小説においても余り変わらなかったりする訳だが、セカイ系チックに分かり易い例でドストエフスキーの『罪と罰』を。
http://www.sapporo-u.ac.jp/~yamada-t/db-pdf/russian_names.pdf
こちらを見れば分かるように主人公のラスコーリニコフという名前自体が、切り裂くという意味のラスコローチをもじった名前として付けられていることが分かる。日本風に言うのであれば切崎壊夫といっても良いぐらい。
零崎人識と対して変わらない(笑)
フルネームをロシア語で書いてひっくり返すと666になるなどの面白仕掛けがあるあたりもこれまた現在のセカイ系ライトノベルト変わらないし。
『罪と罰』自体が、「エリートは凡人の作った法を超越できる」といったラスコーリニコフの認識もまぁ……現在の青春小説で受け継いでいる部分もあるわけだし。もっとも最後がソフィアの愛云々というのは、ちょっとネタとしては現在使うにはベタベタ過ぎるかもしれない。
上のサイトには書かれていないが、ラスコーリニコフを追いつめる検事の名前ポルフィーリィは、ロシア皇帝の「皇衣」を意味するポルフィーラをもじってつけられているのだそうだ。権威と抑圧の権化っぽい名前となる。
『罪と罰』自身が、原稿料前借りして書かれたエンターテインメント作品であることを含めて割と最近のセカイ系共通点が多いので参考までに。
(参考)取次ジョーク集内の作家の上中下
http://d.hatena.ne.jp/otokinoki/20040902#p3
歴史は繰り返すよな。
今回のネタ本
謎解き「罪と罰」
http://www.gunzosha.com/books/ISBN4-905821-02-9.html
よし10分で書けた。10分で書ける程度でしか深めてませんがこの辺で。