マジカル・スーパー・チャイナ『八仙過海』

最近はすっかり冒険小説家になった樋口明雄の影響なのだろうが、個人的に「チャイナ・ファンタジー」という言い方よりも「マジカル・スーパー・チャイナ」といった方が、中国モノに対するドキドキ感が高まるような気がする。いや、雰囲気だけなんですが(『紅楼夢』も好き。オイラが読んだ頃は岩波文庫版『紅楼夢』はまだセロハン巻だった)
ルビー文庫、伝説の中華シリーズ、尾鮭あさみ「舞え水仙花」「大唐胡蝶伝」「悪名西遊記」は楽しんで読むにはさすがに属性がない。あらすじだけを書くならナタクを主人公に顕聖二郎真君や三蔵法師一行が絡む……なんというか魔夜峰央の「パタリロ西遊記」を先取りしたというか、魔夜風味を尾鮭あさみが中国趣味につっこんだというか悩む快作。
台湾行ったとき、日本であまり知られていないそういったアクションフルなマジカル・スーパー・チャイナってないでしょうかと聞いた時に出てきたのが、中華圏ではTVドラマ化もされて大人気の『八仙過海』である。

八仙に四海龍王。趙元帥(封神演義の趙公明)、関元帥(三国志関羽)、斉天大聖・孫悟空が入り乱れて戦い合うというのがストーリーの大枠。発端は八仙が各々の宝貝を使って海を渡っているときに、東海龍王の息子が、その宝貝を欲しがってちょっかいをだしたのが争いの始まりだった。これを契機に双方の陣営が一進一退で勝ち負けを繰り返す、仙界大戦のお話というのが大枠のストーリー。
封神演義』よりも成立が古く、その元ネタになったとも考えられている。

簡単に陣営を色分けすると。

八仙、孫悟空 VS 四海龍王、四元帥(趙公明を主軸に関羽)、天帝

という感じらしい。孫悟空はどうにも龍王陣営とは相容れないようだ。
如意棒の孫悟空VS青竜刀の関羽か……。
基本的に海上の戦いのハズなのだが、関羽は何に乗っているんだろう? なんか神獣に乗っているんだろうが、赤兎馬ってことはないよな。千里馬とはいえ黒麒麟や四不象のような天翔る神獣じゃないし。それとも初期設定と変わっているのだろうか? 雷部に属したことで空飛べたりするのだろうか? イカン、想像がつかない。
抄訳を取り寄せ中。