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ボーイズラブ小説における出版・編集側の自主規制って、最近、どうなってますか? そこを考慮しないと公共図書館問題って語れないような……。

公共図書館でのBL小説の扱いなどに関して、色々と話題が盛り上がっている。あ、今日の写真は磯山さやかで。彼女、日本シリーズ当てたんだっけ、すごいなぁ。
俺は「やおいアンテナ」というのがまったくない人間であるため、何冊か「やおい小説」も編集したこともあるけれども、正直、よい編集が出来なかった記憶がある。
小説としての出来不出来は分かっても、それが対象読者にとって面白いか面白くないかというのは、アンテナがない門外漢にはわからない。そもそもなぜ俺に「やおい小説」の編集が回ってきたのかよく分からなかった。まぁあの事件当時はどこも混乱していたしね。
と言うわけで頑張って栗本薫さんの「小説道場」を読むところから、やおい小説の編集を始めたんだよ、俺は! 

新版 小説道場〈1〉

新版 小説道場〈1〉


アマゾンもネット古書店もない時代、新書館の倉庫まで買いに行ってさ……。(今は別出版社)そこで褒めているやおい小説を総ざらいで読んで……。当時の努力を振り返って見ると我ながら涙が溢れてくる。ただあの栗本薫の熱い熱意がなければ、角川ルビー文庫の創刊もなかったわけだし、JUNEから出てきた数多くの才能もなかった訳で、頭の下がることこの上ない。
そしてどんなジャンルであっても良作は常にあるし、偶然でもそれに当たったときは本当に時間を忘れるほど楽しめる。これについては、やおいアンテナの有無は関係ない。
栗本さん自身の「終わりのないラブソング」とか、尾鮭あさみさんの「トラブル・フィッシュ」などは面白かった。反面、それ以上の大ヒットシリーズである秋月こおさんとか、ごとうしのぶさんは分からなかったなぁ。今読めば分かるのかもしれないけれど。
さて、話を戻して公共図書館で、BL小説をどう扱うか云々というのは俺個人としてはあまり興味がない。古くは学校図書館に漫画やラノベをどう入れるかというのが延々と闘争されてきた時代というのが、ここ三十年ぐらいあるわけで、その戦場がもっとも不可視度合いが高かったBLに及んできたなぁと思うぐらいである。
基本的にはゾーニングと予算配分の話であり、世論の同好や関係各所で10年も話し合っていれば、なし崩し的に決着のつく問題だなぁとしか思わないのだけれども、もう一つ。ちょっと気になったことがあった。
最近のBL小説の出版社側・編集者側の自主規制ってどうなってるんでしょう?
乙木の知る限りでは、明文化はされていないはずですが、すくなくとも大手出版社の文庫シリーズに関しては、BLは自己規制があったと思います。これは何人もの編集者から直接、間接に聞いたことがあるので。
ある編集部では、それは文庫編集長が決めた編集部内ルールだったりするし、そこまでいかずとも部内で自然に決まっていった自己規制(あるいはこうした方が売れるからという、商業的な要請・マーケティングからくる自己規定)だったりするわけですが。
乙木の場合は、その編集部で編集していたり、インタビューで編集長から聞いた話だったりするから、前者の方が多いわけですが。
あと同じBLであっても新書レーベルの方は分かりません。ようするに男子向け文庫も出している編集部を取材した契機に、BL文庫も同時に知ったという場合が多いので。

某出版社のBL文庫編集長のルール(男性。元少女漫画編集長。もう10ウン年以上前)
小学生を性の対象として小説に登場させないし、そういう描写があってはならない。
またスカトロも基本的に禁止。

この編集部では、回数とはSM描写とかの規制はなかったように思う。まだ児童ポルノとかいう言葉が一般的になる前の話。

某出版社の女子向け文庫編集長のルール(女性。少女文庫編集畑の長かった方)
1冊の文庫におけるSEXは三回まで。
→ただし後にその規制が撤廃された。結果、売れ行きが数字に見える形で上がったのだそうだ

まぁ、これは多かれ少なかれどこの出版社もやっていることとは思います。
そしてこれはドコの編集部をインタビューしても、ハッキリと明示をされないけれど、ドグマ的なルールとして

BL小説につけるイラストには性器を露出させない
(まぁ多分コレはコミックにおける自主規制から来たのだろうけれど)

というのはあったと思う。まぁ、一番分かりやすいし、少なくともわいせつ裁判における誰にでも分かる一つの基準たり得るしね。
公共図書館や、あるいはコンビニの棚に並べるかどうかと言う点については、単に条例や市民団体の抗議だけで、基準が決まる場合は割と少ない。生産者側として、シール貼ったりとか、「ウチは節度を持ってやっています」みたいな出版社側の良識なども考慮にいれて決定される場合も多々ある。
特に総合出版社であればあるほど、その部分は気をつけてくるし。
そういう視野が少なかったみたいなので、ちょっとエントリを書いてみました。

……というか、結構、新書レーベルのように発行部数の少ない所では、図書館が買ってくれるかどうかというのも、些少なりとも消化率に関わってくるんで、無縁でいられないんですわ(笑)

終わりのないラブソング〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)

終わりのないラブソング〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)


そうそう、最初はスニーカー文庫だったよね。