マルコス大統領は政権末期に自伝アニメを作っていた? 日本子供文化が海外へと伝播していく過程【その1】

昨年は一生懸命に仕事をした関係で色んな人と知り会えた。オイラがやろうとしている取材手法とかアプローチ手法はかなり異質なのかもしれない。業界に関わっているのだけれど、業界中心部ではなく周縁部にいる人にも話を聞いていくのが好きだからかもしれない。
自分ではオタクのつもりなのだが「乙木さんはオタクだね」と言われる比率が大体50%。「乙木さんはオタクじゃないね」と言われるのが50%だったりする。ドッチヤネン! その辺りにも多少の理由があるのかも知れない。オタクのふりに関してして詳しいらしい野村総合研究所に分析してもらおう(ウソ)
ライトノベル完全読本を作っていく中で、アニメ会社やゲーム会社が分化していく前の70年代の話をチョコチョコ整理していたときに仕入れた情報の一つにタイトル通りの「マルコス大統領は自伝アニメを作っていた」という話がある。
間に人が一人入っているので、今度、直接関わった人に会うつもりだけれど、忙しすぎてまだ会えていない。
マルコス政権下におけるボルテスVの人気については有名な話だ。念のために詳しい下記サイトを貼っておく。
「ボルテスV」フィリピン事件
超電磁マシーン ボルテスV - Wikipedia
この番組はオイラも見ていた。このネタはオタク業界では、むしろ初歩的といっても良いかもしれない。ところが今回聞いた話は「ボルテスV人気に当て込んで、マルコス大統領は自伝アニメの制作を依頼していた」という話なのでまたトンデモない。
え〜!? 本当?って感じだ。いよいよ革命へと繋がっていくボルテスVのクライマックスをマルコス政権が嫌ったが故に放送禁止となったという話というか、説は良く聞く。堀江美津子のそれに絡む談話などもネットに流れているが、結局分からないのは、「マルコス政権側がどこまでボルテスVの内容を理解していたのか?」という点だ。
まぁ崩壊してしまった政権だしなぁ……。
この話には間に人が一人入っているのだが、その方の弁によると「とにかくマルコス大統領が自伝アニメを作りたがっていて、実制作にも入っていた。ところが革命が起きて未回収になって、コゲついて借金作っちゃって大変だったんだよね」とかなんとか。
実制作に入っていたのであれば、もう少しこの話が海外であっても回りそうなものなので、その部分で信憑性が薄いのだが、どうやらマルコス大統領本人か、かなり権力の中枢部へ接近した人であるのは間違いないらしい。
日本アニメが海外へ波及していった中での伝説の一つなので、ちょっと何が何でも聞きに行かざるを得ない、発表できる当てもないのだが。
こういう話を聞くにつけ思うのだが、日本の子供文化というものは海外に波及したとき、初めてその文化に触れた外国の子供たちに強い印象とともに刷り込んでしまうものらしい。日本にもしCIAの様な諜報機関あるいは海外宣伝機関のようなものがあったら、絶対にそういう情報を蓄積するはずだろうが、残念ながら日本はそういう研究をしてない。
その辺りの作業に当たるとするならば、三百人力の白州次郎によって商工省から解体されて作られた通産省だったろうが、そういった資料はないよなぁ。通産省の気配りがソフト産業にたしてあったとは思えないし。小松左京の小説に登場する通産省はえらく有能だったりするのだが、どうにも実際とかけ離れ離れているっぽい。まぁ高度経済成長期とでは役所権能が違って当然でもある。
子供文化という意味で、「オタク学入門」の巻末の記事は興味深いのだが、あれにもう少し経済的な計量値もいれた資料を誰か作ってくれないものか。実はNRIにはオタクの振りをする云々とかいうつまらん分析ではなくて、こうした調査をして欲しいのだがなぁ(溜息)