飛龍乱のMr.インクレディブル評

割とよく見るアニメ批評サイトなのだが、その中で漫画家らしいピクサーシナリオ陣の評価があったのでメモ。

うん、面白い。
 ピクサー社の作品でいつも感心するのは、全ての事物に対し、徹底的に考えた痕跡が見える事。
例えば お母ちゃんの特殊能力、ゴムのように自由に伸ばせる体、について、単体で どういう使い方が考えられるか、また それを他の家族の能力と組み合わせた場合のバリエーション、それらを最大限に活かせるシチュエイションは どんなものか、対立させて面白い敵のキャラクターや能力は、といった無数のポイントに、考えられる限りの選択肢を用意し、最高のものだけをチョイスして実際に使用していく。
 適当な所で考えるのを止めていない。
 お母ちゃん独自の能力をチョイと脇にどけて、「『マトリックス』面白かったから、あんな感じのガンアクションを派手に やらせてみようよ」なんていう、作品を殺しかねない無駄な「お遊び」など、決して採用される事はなく。

漫画で言うと、「優秀な編集者が付いている」状態。

日本映画や取り分けTVアニメにおいてもっともおざなりされてしまっている部分を完全にフォローしているピクサーのシナリオの凄さはまさにココにあると思う。
おそろしく時間のかかる作業であるし、映像作品においてはシナリオだけがすべてではないのはもちろんのことであるが、米映画産業に置ける最上の部分はキチンとこの作業をこなしているからこそスゴイ(国会図書館での待ち時間の間、色々調べていると米映画産業の飛躍は70年代中期以降らしいのだが、このあたりもうちょっと調べたい)
あ〜くそ、時間がないけど見たくなってきた。
【追加】
あともう一つ、実は<徹底的に考える>という作業は、貧乏企画屋にもできる作業だ。また同時に成功した企業・チームが、驕ってしまい、最初に放棄することが、<徹底的に考える>という作業だ。まぁ踊る大走査線の映画第二弾とかな(笑)
あれだけの成功を収めつつ、それを続けるという意味でもピクサーはスゴイ。