ライトノベル・SF業界の来年予想(中間報告Ver.)

まだ未整理だけれども、年末に向けての来年のライトノベル・SF業界予想。
とりあえずの中間報告。まぁ年末までにはもう少し情報精度を上げた予測が出せると思う。

ライトノベル・SF業界の来年予想(中間報告)
ライトノベル作家の淘汰

来年中に自分の幅を広げていないライトノベル作家は、5年後は生き残れない。
ちなみに生き残る、生き残れないというのは、「本を出せない」という意味ではない。
原稿からの年収が400万円以下に落ちて、その後二度と浮上しないという意味である点に注意。
当然だけれども、やたらめったら幅を広げようとしてもマズイのはいうまでもない。
②新雑誌が次々と創刊
ブームという形でのラノベブームは今年で終わり、来年は新雑誌創刊と雑誌のリニューアルが相次ぎ、その結果として若手ライターにホットスポットがやってくる。
ライトノベル自体は、様々な商業的な工夫によってまだ売れる状況は続く。圧倒的な不況がくるのは、2〜3年後である。
③オタク第三世代ライターの台頭
◆オタク第三世代である20代の若手ライターが企画・執筆するオタク本(ムック・雑誌)が複数社から出て、ここがオタク業界における主戦場になる。
作家以外にもこの世代が注目されてくる。
◆オタク第二世代はディレクター・プロデュース・評論本執筆などのサポートに回る比重が増えてくる。ここで上手く動ける人材が伸びてくる。
10年前に作りたかった作品をようやく日の目が当たったからといって、十年一日の如くデッドコピーやサンプリング作品をつくる人材は自然に淘汰されていく。
「うしなわれた10年」で不遇だったのはわかるが……。
◆オタク第一世代の動き方が分化してくる。
より文化人化するもの、実作の一線で働くものetc.……。
双方ともに露出が多くなるが、最終的に勝ち残るのは、物作りに徹しているもの・若い世代へのアンテナを持っているものである。
実作から離れたオタク第一世代・自分の作りたい作品を後進に無理矢理作らせる第一世代は生き残れなくなってくる。
福井晴敏の次を巡るレース
青春ブンガクでもミステリでもない領域の完成度の高い単行本作品を書いた作家が、福井晴敏の次の座に坐る。
その可能性がもっとも高いのはライトノベル出身の作家である。
この座に坐る作家の候補は男女10人ほど。
30代の男性読者層を巡る戦いともいえる。
この層の特徴を一言で表すと集英社の週刊少年ジャンプを読んで「あー、ジャンプって女の子の雑誌になっちゃったなぁ〜。デスノートアイシールド21以外に読むモノがないや(当然だが、Hunter×Hunterは休載中)。昔の『北斗の拳』みたいなマンガが始まらないかなぁ」と思っている男性層にほぼ等しい。
伊坂幸太郎の次を巡るレース
伊坂幸太郎を耽溺して読むにまだ至れない中学生・高校生の読者層(主軸は女性)を巡る争いが熾烈化する。
本来ならばこの位置に坐るべき作家はOであった。
しかし某事情により小説を書かなくなってしまったため、その座が空白化している。
ここに誰が座るかはかなり混沌としているので、まだ正直、その候補が私にも絞り切れていない。要調査。
⑥ファンタジーでの色々な動き
海外ファンタジーから日本人クリエイターによるファンタジーへの流れをモノに出来るかどうか……。
某ファンタジーアニメ映画4作品(みな邦画)がどのように迎えられるかが一つの試金石となる。
日本作家のファンタジーブームへとつながれば、それは小学生時代にハリーポッターを読んだ世代から30代女性までつながる巨大なファンタジーブームが再来するかもしれない。
可能性はあるが、それが来年かどうかまでは見えない。
⑦SFでの色々な動き
リアル・フィクション*1ではじまった世代交代の終わりのはじまり。
誰がリアル・フィクションの空き枠に滑り込んでくるかのレース。
空いている枠は、あと幾つなのだろう……←というか、これって予想というよりも、S-Fマガジンの塩澤さんに聞けばわかるんじゃないのかという点で、予想と言えない気がしてきた。
めずらしいケースの一つ。

*1:はてなキーワードには「S-Fマガジン編集長 塩澤快浩氏が提言する小説のジャンル.その詳細は謎に包まれている.」と書いてあるのだが、これではまったくなんの説明にもなっていないので、だれか書き直してくれまいか?

新海誠のすごいコメント

跡地

雲のむこう、約束の場所」のノベライズが出るらしい。本編の映画がかなり悲惨だったので、どのような内容なのか、興味がある。それにしても作者自身が「なるほど「雲のむこう〜」という物語はこうあるべきだったんだという感動がありました。」とか言っちゃあ終わりだよ。あなたもそれがわかるくらいの物語をつくらないと。

その後修正されたが、すごい爽快感とやるせなさを感じさせるコメントだ