「ISBN:4152086483:title」

非常に良かった。リドリー・スコット監督で映画化が進んでいるらしいけれども、確かにドキュメンタリー的な映画を撮ったことのある監督なら撮りたくなる原作であるなと思った。
まだ書いてないけれど「驚異の百科事典男 世界一頭のいい人間になる!」は、実力あるシナリオライターならば、映画化したくなる原作とでもいうべきだろうか。
ちょっと覚えておこうと思ったフレーズを幾つか。

沈没船のなかへはいるダイバーは、とくに奥のほうへ行くつもりなら、陸上にいるときとは異なるやりかたで空間を認識しなければならない。海からあがれば無意味だが、−−左に曲がって、下におりて、そのあと斜めにあがって、右側の船板の合わせ目沿いに進む−−と言ういう風に道筋を整理しながら、三次元で物を考えなくてはならない。
すべてを−−湾曲部、曲がり角、あがった場所、おりた場所など全部――記憶する必要があるし、はっきりした目印があまりないときでも、一面がイソギンチャクにおおわれていても、怠らずにやらなければならない。一瞬でも、来た道がわからなくなったりわすれたりしたら、いろいろな疑問が浮かんでくるだろう。船長室に来るまでに通ったのは三部屋だったか二部屋だったか? この砲塔にあがる前に、左へ曲がって右へ曲がって右へ曲がったのだったか、それとも右−左−右だったか? 知らないうちに別の階に来ていたのか? あれは、沈没船の入り口の横にあったパイプか、それともここを泳いでいるときに目にはいった六本のパイプのどれかか? こういうふうに疑問を持ったらトラブル到来だ。

パニックに陥ったダイバーの思考を記した描写が迫真に迫る。ここの部分は三次元探索が大変だという描写。まして水中では窒素酔いで思考力が大幅に落ちるので(オイラは初心者ダイバーだから窒素酔いまで経験してないけど、とにかく水中では思考力が落ちる)この潜水艦調査の間でも3人死んでいる。特に横倒しになった沈没船の探索は非常に困難でそのことを述べた文章。宇宙の難破船探索の描写にも使えそう。
下は主人公の一人、チャタトンの人生訓の一部。興味深い。

  1. 簡単にはじめられることなら、すでにだれかがやっているはず。
  2. ひとのあとをついていくと、ほんとうに解決する価値のある問題を見逃すことになる。
  3. 抜群の能力を発揮するには、準備と自己犠牲と集中力と執着が必要だ。そのうちひとつでも妥協すれば、人並みになってしまう。
  4. 人生にはときどき、大きな決断をせまられる一瞬がある。止まるか進かを決めなければならない交差点がある。ひとは、そのときくだした決断と死ぬまで離れられない。

(後略)

これは多くの人に読んでもらいたいなぁ。

シャドウ・ダイバー 深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち

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