オタクは男根主義か否か? id:Hayashidaさんの主張

個人的にサークルクラッシャーを巡る論説は

  1. フェミニスト論争
  2. →大学レベルでの経験談論争(源氏物語の雨夜の品定め・男の経験値や幸福論)
  3. →実社会・会社・歴史上でもあるヨ話(つまりよくある○○ってことだね)
  4. →男女の集団内における相互の自己承認の話

といった時系列で展開すると思っていました。
3に至る明察な指摘が一部であり、2における指摘が転叫院さんのサイトでありました。
http://d.hatena.ne.jp/tenkyoin/20050511#p2
転叫院さんが非難する<ヒエラルキー>とは、<「男の経験値」=自慢話ってつまんないよね>ということを転叫院さんが構造的に解析しているのだろうと解釈しています。ようするに非童貞が童貞に自慢話をするとかの類。伊集院光的に言えば「もし優香と乙葉から同時に告白されたらどっちと付き合う」「まったく乙葉を選ぶなんてお前は童貞だな!」という会話の類ですね。サークルクラッシャーに関してはこうした観点は出てくると思っていました。先の優香&乙葉なんてのも10年たつと何の意味のない話である半面、中高大学生の男子にとっては重要な話です。ただ辞書作成者が、辞書制作の当初において、辞書参照者よりも関係性保存の立場で先行してしまうのはしょうがないかなと思います【いくつか調べてみたりしてたら、用例が増えて後半部が分かってきた。ありがとうございます】 
4に至るにはほかにも色んな補完が必要なので、少しずつそれをやるために、ある程度、フェミニン話も終わったことだし、ちょうど芸能界において、オカマキャラ藤井隆が結婚するとかいう話題もあったので、これに「オタクが好きなアイドル話」なども絡めながら、少しずつ書いていこうとか思ったら、いきなりid:Hayashidaさんから

男根主義

http://d.hatena.ne.jp/Hayashida/20050511
とかいわれてビックリ仰天です。「オタクは斜に構えている」「オタクは閉鎖的」なら分かりますが。

id:Hayashidaさんの今回の話はすべて

オタクの男根主義的な嗜好・志向

という主張からはじまっているのですが、どうして「オタク=男根主義」となるのかが、とにかく説明不足のようで分からないです。ここを固めておかないと、後段でid:Hayashidaさんが行っている論説がすべて根拠の薄いものになる気がします。
むしろ個人的には男オタクの方が、現実においてフェミニストの傾向を持っている可能性が強いと思います。だからこそ、現実と虚構の判断が付かずにイリーガルな行為に及んだ男オタクに対しては、なにより強烈なパッシングが男オタク自身から突きつけられるわけです。「オッカムの剃刀」的に見るのであれば、単に男オタクは女子のことを知らないだけと見て、如何に少女文化を知らしめるかに力点を置いた方が、id:Hayashidaさんの戦略としては正しい気がします。
実際、一般男性よりも男オタクの方が少女コミック、あるいはコミック・アニメに代表される「少女文化」への接触機会も理解もあるような気がします。男オタクが「現実の女性」「現実の女性」への理解に乏しいというのは事実その通りですが、それは単に女の子と付き合ってない(あるいはその時点では付き合えない)からに過ぎないのだけれど、それがどうして「非難されるべき男根主義」に直結するのでしょうか?

  • 男オタクに調教美少女ゲームが売れているからやっているからオタクは鬼畜好き
  • ロリコンマンガが売れているからオタクは小学生を狙っている性犯罪者

という消費傾向を見て、オタクパッシングをしようとしている学者・マスコミがそれこそ「ゲーム脳」のような訳の分からない理論を持ち出して非難することはあります。
過去ログを見る限り、id:Hayashidaさんは「ゲーム脳」を根拠がないと批判しているのですが、オタク=男根主義の根拠の説明が少ない現時点では、それとほぼ同等に薄いように自分には思えます。
サークルクラッシャーと言う言葉は、男オタクが現実的なレベルにおいてはあまり女の子に慣れていないがゆえにおこるトラブル(10年たって振り返ってみると少し笑えるような)を、自虐的に面白く表現した言葉であり、女性非難の要素はその当初からなかったです。
それが手を加えられていく上で、面白さは減じたと思いますが、「これは女性非難の言葉だ!」勘違いする人もかなり少なくなってきて、落ち着いてきた矢先だっただけに「男根主義!」といわれるので、かなりビックリしたというか……なんか随分遅いし、ちょっと的外れだなと思いました。

近時、一般人からオタクの典型として読まれている書籍版「電車男」を考えてみましょう。
普通に読んだ場合、あそこから読み取れるのは「オタクは女性に慣れていないから、ネットに助けを求め、恋愛が成就した=純愛」というストーリーです。
太陽の塔」を読んだ場合、そこから読み取れるのは、頭が良くても気が弱く女の子との付き合いが上手くいかない男性像です。
電波男」を読んでも、そこにあるのは持てないブサメンの男性の悲哀と覚悟であって、そこに男根主義は感じられません。「電波男」は多くの点で後に述べる男オタクの性という視点に鋭く切り込んできた良作だと思います。
こんな感じで近時の話題作を見ても、id:Hayashidaさんが仮想敵としている男根主義の権化が、話題作としてはすぐに思いつかないです。

男オタクはNANAを読んでも、その背後にいる女性存在を意識しないので、はてなキーワードをきちんと編集していない
=悪しき男根主義

と断じていますが、id:Hayashidaさんが何をきっかっけにして、自身の思うところの「オタク=男根主義」との戦いを決意したのかは非常に興味があります。
id:Hayashidaさんの主張は自分から見ると

男はスカートを見ていても、実際にスカートを履いたりしていないから、スカート履いた女の気持ちが分からない
=悪しき男根主義

といっているのと違いがよく分かりません。

「オタクは男根主義で、それが一般人である僕には気に入らない」といっているのは、個人的にも興味深いので、ぜひその根拠を聞いてみたいと思います。
男オタクにとって……そしてこれは女オタクにとってもですが……自分の性とは何か、そして他者から見られた場合にどういった形で性を出していくかというというのは、一つの論点として論ずるに値するコミュニケーション論となりうると自分は思っています。

いかにオタク(コミュニティ)が女の子文化を蔑ろにしているのか?

をテーマに問題提議をしているブログを書いているとのことですが、これはid:otsuneさんがいうとおりの壮大な釣りなんでしょうか?
もっともそういった主張を書いたブログも、オタク仕事がとれたら消去する可能性もあるとのことなので、一層このテーマに書ける意気込みの度合いもどれほど強いのか不明のままです。

僕は基本的にピン芸人なので、

この「基本的に」という部分をid:Hayashidaさんのプロフィールから解釈すると、その例外的なボケの相方が皆川ゆかさんということなのでしょうか? 皆川ゆかさんという人がどういった方なのかは、小説を少し読んだくらいなのでよくわからないのですが……。
id:Hayashidaさんはそういったバカフェミ的なパフォーマンスを振る舞いをわざとすることで主張しているのかも知れないのですが、それをもう少し分かりやすく書いてもらうことを今、皆が望んでいると思います。