「世界を変えた6つの飲み物」が面白い。

昨日書いた「星新一 一〇〇一話を作った人」は、ちょっと追加したいエピソードもあったのでこれは後で書こうと思っております。
今日書くのは、その後で読んだ世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史という本について。
画像は「COFFEE AND THE ASCENT OF MAN」って感じで。
すなわち

+ビール  :文明化されたビール
+ワイン  :帝国のブドウの木
+蒸留酒  :アメリカを建国した飲み物
+コーヒー :コーヒーハウス・インターネット
+茶(紅茶):茶の力
+コカコーラ:瓶によるグローバル化

の発見と文化史に関して述べたものである。
まとめ買いした他の本が大著であるため、これも決して薄い本というわけではないけれども、比較的軽い感じで読めた。
視点として面白いなぁと思ったのは、飲料水としての普通の真水というのは、簡単に腐ったり排泄物で汚染されるため、製法の途中で水を沸かして作るビールや、水と混ぜて飲み水を浄化したワイン、沸かすのと本来の殺菌力で綺麗になる茶が、真水よりも安全な飲料としての認識があったのは興味深い。それぞれの飲み物が、いろんな形で「医薬品」「消毒薬」として使われているわけだ。
たしかに生活圏のすぐそばの水は汚染されてしまうからこそ、「水くみ」という作業が生活の場から離れた所から取ってこなければならないってのは、例えば桃太郎でも「お婆さんは川へ水くみへ」というような形で生活圏からちょっと移動することを示唆しているしね。
飲み物それぞれに関して色々な知見が得られて面白い。
例えば
▼なぜ「とりあえずビール」と言われるほどビールは庶民的であるのか?
 ビタミンB1を含むビールは、その発見の時から労働者の主食の一つだった。またその生まれから「皆で分け合う飲み物」という飲み方が生まれ、ビールが飲む際に「乾杯」するのも、古代人が健康を祝して飲むという飲み方の名残であるため。
▼一体、いつからワインは「生活ステータス」を表す飲料になったか?
 ギリシア時代の正式な酒宴を意味するシュンポシオン(シンポジウムの語源)が流行ってから。原産地から次第に醸造場所、生産年代へと興味と格式が移っていた。また飲む時には厳格なルールや形式が作られた。それがローマ時代にさらに拡大し、ワインは万人の飲み物ではあるが、富と地位の格付けを意味するモノになる。
のほかに
▼どうして、トレンチコートの探偵には蒸留酒は欠かせないか?
▼インターネットネットとカフェの親和性が生まれる背景は?
▼第二次世界大戦における「コカ・コーラ大佐」とは?

など、それぞれの飲み物が持つ文化的なイメージというのを理解出来た。
それぞれの飲み物に対する引用句などが非常に含蓄が深い。

■ビールの格言
楽しみ、それはビール。苦しみ、それは遠征。
――メソポタミアのことわざ(紀元前二〇〇〇年)
心底満たされた男の口は、ビールで満たされている。
――エジプトのことわざ(紀元前二二〇〇年)

■ワインの格言
風呂とワインとセックスは人間の肉体をむしばむ。だが、風呂とワインとセックスのない人生に、生きる価値があるだろうか?
――碑文大全・第六巻

■コカコーラの格言
10億時間前、人類が地上に登場した
10億分前、キリスト教が誕生した
10億秒前、ビートルズが音楽を変えた
10億本前のコーラは、昨日の朝に飲まれた
――コカコーラ社CEOロベルト・ゴイズエタ(一九九七年四月)

興味のある方はぜひ!

世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史

世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史