「クレイジーカンガルーの夏」がスゴイ

身の回りで色んな人が絶賛している。俺も読んだけれどこれはスゴイ。
潜在的にスゴイ力があって、読者を掘り起こす力のある久々の作家が登場した感じだ。
もちろん、ストーリー的にもっと起伏を付けた方が良いなどと未熟なところがあるけれど、恩田陸氷室冴子ファンは目を通しておいた方が良い。
うん、キチンと育っていけば恩田陸氷室冴子を好む読者層にマッチする作家になれる。
ソフトバンクGA文庫はどうしちゃったのだろう? 大西科学の「ジョン平と僕と」に並んで、こういった作品を出せる土壌があるということはすごいことだ。他のライトノベル文庫が持ち得ていない要素を持っているこの深さは、すぐには売れ行きに貢献しないだろうけれど、いずれガッチリと効いてる。
うらやましい限りである。

クレイジーカンガルーの夏 (GA文庫)

クレイジーカンガルーの夏 (GA文庫)


ストーリーラインは、男の子同士だけれども「海が聞こえる」といえば分かりやすいだろうか? プラス79年の男の子文化風味。けれども男の子の回りを巡る田舎の家族環境、祖父・父母・兄・叔母と家の関係など、ここまで書き込める観察力の鋭さと感性はすごい。著者である誼阿古(よしみ あこ)という名は絶対に覚えておいた方が良い。
海がきこえる (徳間文庫)

海がきこえる (徳間文庫)