スーパーダッシュ文庫大賞受賞作「黄色い花の紅」

黄色い花の紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)

黄色い花の紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)


神保町で並びはじめているので購入。昨年の山形石雄「闘う司書」シリーズが非常に良かったのでそれを期待しつつ購入。
あと審査員の阿部和重が絶賛しているという噂もあったので期待して読み始める。

【あらすじ】
銃規制がゆるくなった近未来の日本。何でも屋である「工藤商会」が、ヤクザ組長の娘・府津羅紅花をガードすることになるのだが、紅花を狙う敵一味には、とんでもない不死身の大男の存在があった。やがて紅花も自身を守るために力を欲し、銃を手にすることになる。はたして紅花の運命は!?

「銃」を手にしたことで運命が変わった、「三十路前の女性ボディーガード」と「少女」の話…と書くと異様に簡単に過ぎるか。いや疲れているので勘弁。
著者が非常なガンマニアで、それに関する描写を見ているだけで楽しい。
乙木は全然ガンマニアではないのだが、キチンと書かれた蘊蓄ものはそれだけで興味を持てる。もっとも個人的にはもっと書き込んで欲しかったし、多分、書く能力はあるのだろうが、それをセーブしているような感じも受けた……というよりも、かなり編集がキチンと仕事をして、時間をかけて改稿させたなというのが印象として見える本だった。
改稿前を読んだわけではないので、比較は出来ないが…。
印象として

①荒削りな勢いが消されているような跡があるが、バランスは良くなってる。
②構成をいじり、調整を取ったような雰囲気が感じられる。
③微妙に素人臭いキャラが、澱の様に残っている(ま、楽しいけど)

このレベルの編集作業をキチンと新人にやっていけば、集英社ダッシュ文庫の全体的な底上げが出来るんじゃないだろうかと感じた。ちょっと「戦う司書と神の石剣 BOOK4(集英社スーパーダッシュ文庫)」が、予想よりも出来が悪かっただけに頑張って欲しいと思う。
後書きも面白く、今後が期待できるのではないだろうか……。