積ん読消化とよしながふみを読む日々

基本的に日記を書けなかった10日間ほどはよしながふみを無茶苦茶読み込んでいた……。
もう去年から大ブームが来ているのだけれども、BL出身であるため乙木のアンテナになかなか引っ掛からなかった。「大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))」「愛がなくても喰ってゆけます。」を読んで「面白い作家だなぁ」と思うに留まっていたのが、9月上旬までの話。
けれどもつい9月3日に「フラワー・オブ・ライフ (1) (ウィングス・コミックス)」を読むに至って、「うわ、これは少女漫画のみならず、少年ジャンルにも影響をあたえるエポックメーキングを描ける作家だ」とか、「少年マンガが90年代半ば以降上手く作り上げられていない少年のビルドゥングスロマンを描けるんじゃないか」とかいうことにようやく気が付く。

……とかmixiに書いたら、色んな女性作家・女性編集者から「やおいに関して乙木は遅すぎる!」となじられたり、「舐めんじゃない! よしながふみはなぁ……(以下、熱の籠もったよしなら論)」を語られたりと大変な事態に……(苦笑)。ベターの選択として「鋼の錬金術師」で満足しているのが駄目なワケね……そうするとよしながふみに到達するワケも分かる気がする。でも少年モノを読んでないとアンテナ引っ掛からないよ。
とはいえ、時ここに至ってはしょうがないのでよしながふみが刊行している商業誌を全部買う。

フラワー・オブ・ライフ (3) (Wings comics)

フラワー・オブ・ライフ (3) (Wings comics)


大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))

大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))


アマゾンチケットとかを使ってもかなりの額になってしまったが、しょうがない。次は同人誌を買いに走らねばなるまい……。正直、24年組であっても少年モノは苦手なのだけれども、同時代を生きてしまっている以上、よしながふみに関してだけは、看過できない。これは確かに「24年組、とりわけ萩尾望都の正統継承者だ」という世評もむべなるかなと思う。
まぁ売れ部数に関して言えば、少女漫画の代表選手って矢沢あいあたりになるのだろうけれど、矢沢あいの作品に登場してくる男性キャラクターって基本的に頭が悪過ぎる。……まぁキャラクター設定が基本的に田舎出身ということもあるのだろうけれど、基本的に矢沢永吉テイストなもんだから「80年代を経過し、90年代を経た後の少年の自意識過剰問題」とかを現代的に解きほぐすツールにならない。
そのあたりの正解に極めて近いモノを(まだ真っ正面ではないけれど)、ズバッとよしながふみは描けているのが、とにかく素晴らしい。よしながふみ自身が頭がいいから、そこまで踏み込めるワケなんだけど。
それを言ったらおしまいよ (F×comics)」あたりのSF破滅ものを押さえておく文脈とか、「愛すべき娘たち (Jets comics)」の女性の心理ドラマとか、とにかく素晴らしい。
「深いトラウマがありながらも、世界や社会との関係を取り戻せる少年・青年キャラクター」という、セカイ系の次を描けるよしながふみに関してはまた詳しく書く機会もあるだろうから、それ以外にも積ん読を処理。
あー、でも「愛すべき娘たち (Jets comics)」の少年版あたりを、ラノベ出身の男性作家あたり書けないかね? まぁ書けるとしたら新城カズマか、桜坂洋くらいしかいないだろうけど。
クトゥルー神話ダークナビゲーション

クトゥルー神話ダークナビゲーション


面白かった。「ネットゲーム'88」とか「蓬莱学園の冒険」まで取り上げられている視野の広さにビックリ。
わたしはCIA諜報員だった (集英社文庫)

わたしはCIA諜報員だった (集英社文庫)


楽しい。CIAへの就職の仕方がよく分かる。
地球人のお荷物―ホーカ・シリーズ (ハヤカワ文庫SF)

地球人のお荷物―ホーカ・シリーズ (ハヤカワ文庫SF)


出るたびに買ってるなぁ。