◆エンターテインメント小説の来年度業界予想【中間報告】

本当はエンターテインメント小説全般に広げたいのだけれども、そこまでは文芸編集者や文芸記者の人に聞いて勉強中。そこで、とりあえず主としてはSF・ヤングアダルトの領域からの業界予想を書いてみる。
まだ中間発表もまとめている最中……本当は11月末に出す予定だったのだけれども、雪斉氏とか、id:shibudqnさんからの書き込みもあったので、ちょっと早めに小出しに書いてみる。

↓ そんな訳で唐突に4番目からはじまるのである。

福井晴敏の次代を担う作家レース
すでに作家としては「アガリ」の位置を確保した福井晴敏次代を担う作家のレースが、ヤングアダルト出身の作家をも巻き込んだ形で'06年に激化する。
【解説】*1
「青春ブンガク」でも「ミステリ」でもない領域において、30代の男性読者を主軸に持つようになる作家が、おそらくはライトノベル出身作家から現れる(または現れることの期待度が高まる)。どちらかというと冒険作家臭がする感じになるかもしれない?
ミリタリー*2、政治、財政金融、テクノロジー(ITやバイオ含む)、外交、アンダーグラウンドといった領域の複数について書けることが要求される。
福井晴敏をもっとも支持しているのは、40代男性層だが、その下である30代男性層を掴むレースと言ってもいい。
30代男性は、現在、アマゾンでの購買力がもっとも高いが、書店での購買が少ないという状況にある。というのも興味のある作家を福井晴敏以外に持てず、かといって「萌え」に特化しすぎて世界を狭めているライトノベルに戻ることが出来なくなっているためだ。俗に言う読む本がない状態。
しかし30代男性読者は、高杉良渡辺淳一また時代小説には一足飛びに飛ぶことは、まだできない。そのためもっとエンターテインメント色の強い本格的な小説を読みたいと思っている欲求が一番強い。
この層を満足させる完成度の高い作品をかけた若手作家が、結果的に福井晴敏の次の座に坐ることになる。
現在、それを書けるであろう能力を持つ作家が、男女約10人前後(うちライトノベル作家が6人くらい)おり、そこでの競争となる。

なんとか、11月末から12月中旬までには、キチンと解説をつけた形でアップしたいなぁ。
とはいえ、取材に時間がかかりすぎて、ちゃんと作るのは大変。

*1:伊坂幸太郎ラインとは別の領域での話であることをまず断っておく。それを書くのは⑤か⑥の予定

*2:戦記小説ではない。それはすでに固定ジャンルとして成立しているから。また福井晴敏の二番煎じをやってもしょうがないため、違う方向性を取る可能性が高い