90年代キーワード「不殺」

90年代気分を決定づけたD.T.ストーリーの幾つかのキーワードをあげていくと例えば、

エヴァンゲリオン「理解不能な社会」
永遠の仔「トラウマ、心理学」
SF全般「環境エコロジー」

というのもあるけれど、もう一つ大きなキーワードとして、

るろうに剣心「不殺」

というキーワードもある。あまり注目されていないけれども、これは結構重要。
特に後半の二つは、ポリティカルコレクトネスな信条となって、少年向けジュヴナイル&ジャンプ漫画に対する巨大な枷(かせ)となるのだけれども、その辺りをまた後で色々書いてみる。
和月もまた庵野秀明と同じで開けちゃいけない筺を、そうと知らずに開けちゃったタイプ。もう戻れない……。
ただ和月伸宏という漫画家は非常に面白くて、田中芳樹庵野秀明なんかが放棄しかかっている、「少年向けジュヴナイルの復権」というのに果敢に挑戦しまくっている。……まぁその結果、敗北しまくってもいるのだけれど、少なくとも挑戦しているのは悪くない。
和月の作ってきた作品を、「作品論」として追っていくと色んなモノが見えてくるので要注目なんだけど、ジャンプ漫画故に無視されている部分もあるのでちょっと書いてみようと思う。
【参考】
http://d.hatena.ne.jp/otokinoki/20051019/p1で書いた、

70年代の「宇宙戦艦ヤマト
主人公と故郷の傷の回復は容易で、ストレートに家族は回復される
80年代の「機動戦士ガンダム」「銀河英雄伝説
主人公と故郷は回復不能の傷を負うが、かろうじて疑似家族の回復に成功する
90年代〜00年代「新世紀エヴァンゲリオン
主人公と故郷は回復不能な傷を負い、疑似家族の回復も困難となる

↑和月は、このエヴァの先を書こうとしているのだけど、失敗してるんだよね。
【追記】
はてなブックマークでid:ululunさんから

ululun 『[漫画]不殺が何故DTと結びつくのかの部分を語って欲しかった』

と指摘が。ちょっとこのあたり書く余裕がなかったので、もうしばらく待ってね。そのためには80年代のD.T.ストーリーから語り始めないといけないので。