養老孟司がこの世で最も会いたい女性−高橋留美子症候群

小池一夫劇画村塾最終兵器「傾国」はやはり高橋留美子をもって決まり。
このネット記事を読んだ時に、「養老孟司もか……」とびっくり仰天してしまった。

最近出したムックで(高橋留美子さんに)対談をお願いしました。編集者が、この世でいちばん会いたい女性はだれか?と聞くので、「高橋留美子さん」と答えました。本人もトボケた雰囲気で、想像通りの方でした。サイン色紙に錯乱坊を描いて下さいました。

まさか、養老孟司までが高橋留美子症候群にやられているとは思わないし。
養老先生が言う「身体論」はとにかく新鮮で、ニヒリスティックにも偏らず、肉体への過度の信頼も置かず、「ヒトのカタチ」を見せてくれるところがすごく好きだ。
……うん、もったいぶった漢字の「人」でもなく、ちょっと精神性に重きを置きすぎた平仮名の「ひと」でもなく、ちょっと科学的ででも優しい筆致の「ヒト」って感じが、養老先生の語り口にはよく似合う。
しっかし、これで何人目だよ! 高橋留美子に会えたのが、この業界に入って一番うれしかったことだ」とか高橋留美子は女神だ」とかラムちゃんはこの世でもっとも美しい女性だ」云々と……。
以前も書いたが、吉田戦車が人妻好きになったのも高橋留美子の影響だし……。
2005-01-29 - さて次の企画は

私もつたないながらマンガの中で多くの人妻を描いてきた。きれいで変な人妻を描きたい、と思う気持ちはたぶん『人妻あばれ旅』(うる星やつら:文庫版4巻「ふたりだけのデート」)が脳に焼きついたときに芽生えたのだと思う。
(スペリオール:戦車映画より)

なんだろう、40才以上の男性に「うる星やつら」と「めぞん一刻」がもたらした高橋留美子ショックは、ちょっとオタク第二世代より下は理解しにくいかも? いや「らんま1/2」も好きだけどさ。
だれか、このあたりを解説して欲しい。う〜ん、あるいはこのあたりを解説するインタビュー記事なんぞを作った方が良く理解できるのかなぁ?
面白い漫画家だなぁ、凄い作家だなぁと個人的に尊敬するクリエイターの多くが、高橋留美子をあがめ奉っている。もちろん、高橋留美子は嫌いじゃないし、好きな漫画家なのは間違いないのだけれども、
この世で一番好きよ〜♪
というのが40代〜60代からまでゾロゾロいるというのは、まさに高橋留美子症候群だ。

高橋留美子は魔性の女なンだよッ! まさに傾国よッ!!
小池一夫調で読むべし。原哲夫チック、板垣恵介テイストでも可)

そうそう、養老先生の指摘で当たり前すぎたのだが、気がつかなかったことに気づいた。

錯乱坊といえば、作品のおもしろさのひとつに言語感覚があります。「錯乱坊」を「チェリー」と読ませ、「喝」と呪文を唱えるときは「揚豚」と書いて「かつ」と読ませる。漢字とルビの二重構造のおもしろさです。

う〜ん、漢字とルビで二重構造を作り、一つの語に組み込める意味を増やすというのは、ライトノベルの常套表現形式の一つである。
もちろん、小説でもかなり古くからあったのは間違いないから、また高橋留美子がその原点という筈はないだろうが、「錯乱坊」を「チェリー」と読ませるような言語感覚を一般に膾炙させたと言う意味では、高橋留美子のこの分野での功績というのも意識しておいた方が良いのかも知れない。
あ〜、これって小池一夫が「ッ!」とか「ン」とかを多用する辺りの言語感覚が、別のカタチで表出されたりとかしているのだろうか? 誰かインタビューしたことある人いないかなぁ?
気にとめておこう。