革命家の資質

疲れ果てた。校了したら二日連続でパーティとかあって……。
ようやく暇になったから、電車内で寝ずに本が読めるようになる。とにかくエッセイが読みたくて読んだのが、犬養道子「ある歴史の娘」。そこに書いていた革命家の資質が面白い。犬養首相の娘であるだけに、海外各国との付き合いが会った中で養われた観察眼。
犬養邸には、いろんな人の出入りがあったのだが、その広い邸にポツネンと住んでいる年頃50歳くらいの老人がいた。邸内の人から敬われつつも積極的な関わりを持たれないこの老人を、11歳の道子は不思議に思って彼のことを母親に尋ねる。
そして彼が「南サン」と呼ばれること、さらにその正体が「安南(ヴェトナム)亡命王朝の最後の王にして革命家・コンデ侯」であることを知るのだった。
でも子供は残酷だ。

亡命の王様で、「しかも革命家」と聞き知るに至った私は、幼い者に独特の直感をまじえた直截で(それゆえに)残酷な批判を下したものである。なぜなら、私がその年……11歳になるまでに……「付き合った」革命家というものは、「インドのボースさん」にしても「支那の戴さん」にしても、黙りこくっている時すら何かしら熱っぽい、そして明るくてこちらに飛び込んでくるような「外に向う力」を感じさせたからである。不遇逆境のさいに自分自身を自分の友として、自分で「あやす」すべみたいなものを身につけた人々……あの南さんじゃダメだわ……

革命家はオプティミストでなければならない。そして冷徹な計算が出来て、他人の人生を諸共巻き込むような熱気を持たねばならないことを、11歳の女の子が指摘する。
無類に面白いなぁ。
あ〜、モーターサイクル・ダイアリーズ、見たいけど時間がねぇなぁ。