手塚治虫の火の鳥2772 愛のコスモゾーン秘話

結局、日本のオタク史を見ようとすると、どうしても手塚治虫周辺は外せない。で、みんな一人づつ知っている手塚の逸話を収集している(笑)
アニメの実作に関して手塚治虫は本当に少しズレているところがあったのはよく知られているが、最近また色々とその話が入手できてきたので忘れられないように記載しておく。
火の鳥2772を作っていた某アニメーターさんの体験談。とにかく完璧主義者であった手塚治虫は思い付いたことをすぐ実現したいという欲求が強かったのか、朝令暮改が当たり前、アニメ制作が非常に苦労したそうだ。しかも朝、言ったことを午後には忘れている。
実写ならば使わなかったテイクなどから編集したり、追加撮影も(良くないけど)可能であるのに対して、アニメは基本的にコンテという設計図ありきの下で進むので、きっちりとした確定した支持がないとまず動けない。
心底困り果てたアニメーターたちは、「じゃあ、手塚先生が何を言ったか録音しよう!」ということになったらしい。ゲームやCM制作、医療ミスを犯しがちな病院といったあらゆる場合でもそうだが、すでに「録音」という状況に追い込まれた時点でデスマーチが始まっているわけだが、まぁそれは置いておく。
録音を開始するやいなや、最初に言ったことはすっかり忘れて手塚治虫が全然別の指示を持ってやってきた。そこでさっそく録音を聞かせたところ、手塚先生は首をひねって一言。
「この声の人は僕とよく似ているね……」
なんというか、愛すべき人なんだなぁというのがよく分かるエピソードである。
このあたりもチョコチョコ更新していこう。
【追記】
反響もあったので10月9日にも追加してあります。