キャンティ文化

え〜、60〜00年代オタク文化圏ばかりを追っかけていると幅が狭くなるので、ここらで異文化を少し。手塚治虫にはじまる漫画少年文化の系列だけを追っかけていてもしょうがない。日本テレビで松任谷由美も登場する、「キャンティ文化」のドラマをやるらしいので、以前まとめていたデータをアップしておく。
http://www.chianti-1960.com/
キャンティとは1960年に飯倉に出来たイタリアレストラン。オーナーは、旧華族であった川添浩史と妻の岩本梶子。川添は青年期をパリで過ごし、戦後は歌舞伎といった日本文化のプロデューサーとして欧米へ行く傍ら、『ウェストサイドストーリー』といったミュージカルを日本に呼んだ、一大パトロンである。妻の梶子はイタリアでグレコの弟子をしていた彫刻家の卵(日芸などにいる筋骨たくましい女性彫刻家をイメージしてはいけない、三カ国語をあやつるお嬢様である)
……で、日本にもアーティストの卵の集まるレストランを作ろうとして作ったのがキャンティ。
そうだなぁ〜、原田宗典の「メロンを買いに」に出てくるオサレ青年の話や、氷室冴子の「海が聞こえる」で、ヒロインがまだ四国に来る前、東京成城でくらしていたような生活もまた若者文化の一つであったということで。必ずしも60年代が学生運動やら鬱屈だけではなかったという証左。
なんといいますか、のだめカンタービレの三善家(千秋のお母さんの家)が経営する、フランス・アパルトマンのレストラン版みたいなのがあったの考えれば理解しやすいか【キャンティには学割もあったらしいから。といってもなぁ】
もっとも、西日本生れのオイラにゃ関係ないが……。

参考文献
キャンティ物語
1960年開店以来、きらめく才能達が集う伝説のレストラン「キャンティ」。そのオーナーにして稀有な国際人といわれた川添浩史・梶子夫妻の生涯と「キャンティ」を愛する客達の青春を描いた書き下ろし長編ノンフィクション。
http://webmagazine.gentosha.co.jp/backnumber/vol05_20000515/onlyyesterday/onlyyesterday.html
東京いい店やれる店
東京いい店やれる店
<1994年、1冊の本が東京の夜を震撼させた。ホイチョイ・プロダクションズの『東京いい店やれる店』である。20万部以上を売り上げたこの本は、レストラン評価の基準を、“味”ではなく“口説ける”ことにおいた画期的な1冊だった>
バブル崩壊後に出したのは痛恨の失敗だとは思うが、ま、それはともかくとして巻末がキャンティの紹介というのはちょっと格好いい。西日本向けの雑誌連載企画で「大阪ええ店こませる店」というのがあったが……。流石にぐぐっても出て来ないわ。

オープン当初から、三島由紀夫黒澤明石津謙介浅利慶太岡本太郎・柴田良三が出入りする半面、まだ若手だった石坂浩二かまやつひろし加賀まりこが集まり、やがてそれらが「六本木族」と呼ばれるようになっていく。
その秘蔵っ子が松任谷由実ですね。