ノベライズのヴァン・ヘルシングが面白い

ヴァン・ヘルシング (竹書房文庫)
ノベライズのヴァン・ヘルシングが面白い。アクションシーンは正直描写が下手で辛いのだが、試写会の映画評を友人から聞くよりも設定などに深く踏み込んだ小説描写をしているようで面白い。
小説読んではじめて知った豆知識をいくつか……。

キリスト教世界において、サンピエトロ寺院は最古にして最大の教会である。イエス・キリスト十二使徒の一人、聖ペテロ(サンピエトロ)は殉教するとき、キリストと同じ十字架にかけられるのは畏れ多いと、逆十字架での磔刑を望んだと言われているが(後略)

その結果、逆十字架がローマ法王のシンボルとなったとのこと。
http://med-legend.com/remhistory/log/0096.html
う〜ん、不勉強ながら知らなかった。

訳者の後書きもついているが、解説が井上雅彦。抄にして適宜、非常に面白い。

ヴァン・ヘルシングの若き日を描く。この試みは、実は、この映画が初めてではない。
なんと、江戸時代の長崎出島に若き日のヴァン・ヘルシングが登場し、シーボルトとともに、日本の吸血妖怪と闘う……という小説がすでに十四年前に書かれている。
この《ヤング・ヴァン・ヘルシング》というシリーズは、かくいう私・井上雅彦の長編デビュー作品(朝日ソノラマ刊)なのであるが、そんな「御縁」もあり、この映画を作り手の立場からも、興味深く観せていただいた。

というのはご愛敬であるが、ホラーに関する愛情がひしひしと感じられて面白い。他のヘルシングを登場させた作家……平野耕太古橋秀之の映画感想が聞きたいところである。
そうそう、ノベライズではヴァン・ヘルシングは自分のことを「ゴミ収集人」として任じているという表現が度々出てくる。平野ヘルシングでは、アーカードやウォルターは「ゴミ処理班」を自称しているが、これは並行進化の産物なのだろうか? それとも訳者のお遊びなのかなぁ?