オタク少女読書文化とのファーストコンタクト

男性諸氏にとって、オタク少女読書文化とのファーストコンタクトとはどんな感じだったのだろう。アニパロでもボーイズラブでも何でも良いわけだが……。多分、個人的に振り返ると「世界名作全集」に収録されているような少女小説を除くとそれは「パタリロ!」だったかもしれない。

L文学完全読本    いとしさの王国へ〜文学的少女漫画讀本
L文学完全読本いとしさの王国へ―文学的少女漫画読本 (MARBLE BOOKS)

いわゆる少女小説などは、小学生時代に世界名作文学全集で読んでいた。「小公子」「若草物語」「赤毛のアン」「愛の四姉妹」……。妹がいた関係で「なかよし」は小学生後期から中学生時代は読んでいた記憶がある。中学生・高校生の時期は折々に応じて妹が買ってくる白泉社コミックスを読んでいた。とはいえ、その白泉社コミックも『ガラスの仮面』くらいで割とマニア度は少なかったかもしれない。
後に趣味者的な読まれ方をされていく漫画家として家族経由で入ってきたのは、「なかよし」にて『夢見る7月猫(ジュライキャット)』でデビューした竹本泉と、『ちょっとフライデイ』『「千津美と藤臣君」シリーズ』のひかわきょうこぐらいか【『彼方から』が星雲賞を受賞】
そうした中でおそらく自分にとってのファーストコンタクトとは「パタリロ!」なのはほぼ間違いない。これは中学時代に仲の良かった同級生女子たちから入ってきた読書文化の一つだった。振り返るにアガサ・クリスティを読んで(飽きた)のもその影響かもしれない。
ちょうどコミックはバンコランVSバンコラン編や、アスタロト編で盛り上がっている頃。
アニメ版の放送も開始され、(どうにもミライ・ヤシマの印象が強すぎるのだが)白石冬美が声を当てているパタリロと、曽我部和行の声も懐かしい「美少年キラー」ことバンコランが公共の電波にも乗った頃だ。
映画・ミステリ・SFからのペダンティックな引用とブラック一歩手前のストーリー展開は非常に楽しいのだが、当然のことながら疑問に思った。
なんで「美少年キラー」なんだ? それをなぜこの女友達……敷衍するなら女性読者は……楽しく読んでいるのだろう? という疑問は直接、彼女に聞いてみたものの明確な答えは出てこなかった。
それを中学生時代の自分なりにどう理解したかというと、当時は「これは少女文化の中にある一つの不条理モノ愛好の一形態ではないだろうか?」「そうに違いない」とえらい文化文脈的な誤読をすることとなる。
【まぁ当時別口で、不条理モノにもはまっていたので】
スタートがそんな感じであったため、今振り返るに中学生時代は萩尾望都竹宮恵子などにも見られた少年愛モノを、なにか違和感を感じつつも、ある種の恋愛状況シミュレーションの一形態と捕らえていた記憶がある。
結局、JUNEや小説道場で展開されていたフェミニズムをも巻き込む理論武装や、そちら方面で開花しつつあったアニパロ文化を知るのはその後になるわけだが。
こうした視点からまとめられた書物が読んでみたいのだけれども、各論がありすぎて難しいのかもしれない。