アメリカの無垢の死。サリンジャーより《イノセンス》なカート・ヴォネガット・ジュニアは米国青少年のイノセンスさの指標となる小説の一つ
SF作家のカート・ヴォネガット・ジュニアが亡くなる。高校生の時に「スローターハウス5」を読んだけれども、まぁ読んだだけで終わってしまって思い入れがある作品とはとは言えないかもしれない。
ただ再読しなければなぁと思ったきっかけがあって、それはこの「ハイスクールU.S.A.―アメリカ学園映画のすべて」を読んだのがきっかけ。
アメリカの文系学生の間では、カート・ヴォネガット・ジュニアは、サリンジャーよりもイノセンスな位置にいるらしい。
これを日本で例えるとなんだろう
村上春樹を読んでいるヤツよりも上遠野浩平を読んでいるやつの方がセンスが良くかつ無垢
みたいなものだろうか?
「ハイスクールU.S.A.―アメリカ学園映画のすべて」が面白い。いじめ問題にも効く(?)必読の名著。 - さて次の企画は
◆サリンジャーよりも《イノセンス》な、カート・ヴォネガット・ジュニア
感心させられたトリビアの一つに「学園映画では、『ライ麦畑でつかまえて』よりも『スローターハウス5』の方が支持が多い」というものがあった。サリンジャーよりもカード・ヴォネガット・ジュニアの方がねぇ…。というのも、『スローターハウス5』の歴史を俯瞰するような理不尽な諦念というのが、日本よりもキツイ《学校内階層社会=スクールカースト》や、《モテ非モテ問題》に悩む高校生に、俯瞰的視野を提供するからなのだそうだ。ちょっとこの視点にはうならされた。人々が次々と性格改造を受けていくホラー映画『洗脳』という学園映画では、ズボンの後ろポケットに『スローターハウス5』を入れている男を見て、主人公はその人物の正気を確信するのだそうだ「狂っていたらヴォネガットなんてよまない!」
これは面白いよね。アメリカの文化コードの一つとして知っておいたら良いんじゃないかと思う。
あと同じような感じで、映画においてイノセンスさの象徴として出てくるモノとしては、アーサー・C・クラークの『都市と星』があげられるかもしれない。こちらは、スティーブン・スピルバーグの初の配給映画である短編「Amblin」に登場する。
主人公の少年は、ギターケースにクラークの『都市と星』、それと就職活動で着るようなスーツを持ち歩いているのだ。
この『Amblin』というのは、スティーブン・スピルバーグにとっても思い入れが強いらしく、映画会社の名前として残っている(でも現在のドリームワークスになってからはどうなったのかな?)。ロゴはE.T.を自転車の籠に入れて飛ぶエリオット少年。『ファンダンゴ』『グーニーズ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などを製作とのこと。
このあたりの情報ってもうちょっと集めたいなぁと思っているので、「アメリカでイノセンスの象徴として読まれている意外な本」とかを他に知っている人がいたら教えてください。
こちらのサイトは「ハイスクールU.S.A.―アメリカ学園映画のすべて」の著者の方ですね。
これまた読んでおいた方がいい。
saltwatertaffyの日記「何度目かのアメリカの無垢の死」
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