SELENEシンポジウムのパネリスト、SF作家・小川一水と陶芸家・佐藤百合子がすごかった!

大手町の経団連会館で、JAXA主催の「月周回衛星(SELENE)シンポジウム 『カウントダウンSELENE〜月探査の新世紀〜』が開催された。
JAXA|月周回衛星(SELENE)シンポジウム 「カウントダウンSELENE〜月探査の新世紀〜」の開催について
SF小説家の小川一水さんが参加されるので、知人を連れ立って参加してきた。到着したのは午後だったので、各国の月探査計画発表でちゃんと見ることができたのは、中国の嫦娥プロジェクトぐらいだった。なるほど、中国はロケットが神舟で、探査機は嫦娥なのか。確かに理屈には合ってる。とすると、地球側の中国基地は、弓の名人のゲイだったりするのかなぁと思ったりとか。
さて、いよいよ小川さんも参加するパネルディスカッション「SELENE及び将来の月探査への期待」がはじまる。手を挙げて発言する一般の人の多くが小川さんの「第六大陸」を読んでいるので、なんか感慨深いなーと思った。
確かに一度、TV番組の取材で、月関連でコメントを求めるのに誰がイイでしょうか?とJAXAの人に電話したことがあったんだけど、その時に「若くて問題なければ、小川一水氏がいいんじゃないでしょうか?」と云われたこともあったし。残念ながらその折りはインタビュー枠自体が流れてしまったけど。
SF作家らしい小川さんの「月に行くだけで満足してちゃ駄目なんだ!」「月開発は惑星規模の災害が起こったときのノアの箱船としての月開発」という発言や、NASAのコーディネーターとの発言と呼応した「火星へ進むための実験拠点としての月」など、NASAの人と話し合ったりなんかして、エライ格好良かった。非常に意義深いなぁと思った。
清水建設の開発部長も面白い(確かこの人って「第六大陸」の取材の時に、小川一水さんが取材した取材先ではないだろうか?)
そしてもう一人、ズ抜けて聴衆に強烈な印象を残したのは、シンポジウムに陶芸家として参加していた佐藤百合子嬢だった。
もともとパネリストの参加予定者は以下の通りだった。

パネルディスカッション「SELENE及び将来の月探査への期待」    
コーディネータ: 高柳 雄一 (多摩六都科学館館長)
パネリスト:
米国航空宇宙局 (NASA
武田弘 (東京大学名誉教授)
観山正見 (国立天文台台長)
吉田哲二 (清水建設(株)技術研究所 研究開発部長)
JAXA宇宙飛行士 (予定)*注
小川一水 (SF小説家)
佐藤百合子 (陶芸家)

この中で、陶芸家・佐藤百合子という人だけが、まったく分からなかった。多分、年齢的に40歳ぐらいの人なんだろうなぁ……。女性パネリストが一人もいないから入った人なのかな? でもそれが月開発とどういう関わりがあるのだろうなどと思っていたら、すげぇ面白かった。
なんとまだ年齢が24歳の若手女性陶芸家だったのだ!(ひぇ〜!) しかもテーマとしているのが、月の砂を使った陶芸作品を創ろうというのを目標としているのだそうだ。
以下、パンフレットに載っていたプロフィール

佐藤百合子(さとうゆりこ)
陶芸家
1997年 高校一年時に文部省運営の高校文化連盟主催の芸術展に初めて陶芸作品を応募。「文化連盟賞」「奨励賞」を受賞。その後在学中に計五つの賞を受賞する。2001年多摩美術大学・工芸学科・陶プログラムへ入学。2003年スペースアートと出会い、陶芸と宇宙の関わり方を考える。2004年第二回学生微重力実験に参加。2005年多摩美術大学卒業。第三回微重力実験に監督として参加。2005年国際宇宙会議IAC福岡に月焼きを展示。
掲載されている写真は、ヘッドフォンマイクをして監督業をしている凛々しい姿。
(ちなみに何故か分からないのだけれども、パネリスト他の中で小川一水氏だけが写真未掲載……)

まず最初に「月の探査・開発に対して貴方の立場からは、どういった感想を抱きますか?」みたいな感じで、司会者のコーディネータ: 高柳雄一・多摩六都科学館館長が参加パネリストに質問をはじめた。
席順から最初に話したのが佐藤女史なんだけど、最年少でかつパネリストの中で一番最初に発言するという緊張する場面にいながら、いきなり「中国における白磁の発明が、ヨーロッパにもたらした衝撃」みたいなところから口火を切って、「新しい地に赴くことで新しい陶磁器が出来る可能性」に触れて、自身が考えている「月の砂と同じ成分を使って陶磁器を作ることの芸術へも意義」を話して、自己紹介をも含めて形でビシっと筋の通った発言をしたのである。……こりゃ、大したタマだと思った。

とかをみて、スペースアート?? なんだぁ?とか思っていたのだけれども、あのこの最初の発言一つをもっていきなり、
「あぁなるほど、それは実に有意義で日本にしかできないかもしれん……」
とかいきなり思わされてしまった。
いやそれぐらい場慣れしていて発言がしっかりしているんだよ。ホント!
パンフレットに掲載されているヘッドフォンマイク姿の凛々しい写真とは違った、芸術家っぽい格好での壇上の姿もまぁ美人といった風で、それでこれだけキチンとした発言ができるなら、色んなシンポジウムとかで招聘されるよって感じだった。なんつーのおじさん転がしが上手い、それもものすごく。まぁ芸術家なんて、一つ頭抜けるためには自分自身のプロモーションが必要なんだけど、これは可愛がられるわ……。
いやこれはスゴイ……。良い意味で女・村上隆(SF界限定)になれるかもしれん←それは大したことなのか(笑)。
来年の世界SF大会とかに呼んだらアイドルになるなと思った。
締めの発言も、ビシッとすじが通ったもので、非常に楽しく拝聴することができた。
こーゆープロモができる人材が必要なんだなぁと感心させられた。