まるでエンジン:Type370に投入された凄い技術とこだわり

……書かなきゃいけない話題はようやく資料の集まってきたイラスト論ほか、なんか色々動いているラノベ業界・ゲーム業界などいっぱいあるなぁと思いつつも、Type370話の第二弾である。すぐに書けるからこっちの方が楽なんだよな……、仕事が忙しい時は。
モントル ブガティType370は、車メーカーとの共同開発であるので、実は車メーカーのイメージを非常に大事にして作られている。もともと、ムーヴメントの横置きという機構を採用したのも、縦置きだとシースルーにしても見えない歯車の動きをよく分かるようにするために、前例のない横置きスタイルを採用したという経緯がある。
ちなみにこの横置きスタイルのことはトランスバーサルムーヴメントと呼ばれる。機構は5本の支柱が連結されたプレートに接続されることで、各歯車の動きを完全に見ることができる画期的な時計となっている。
よく時計マニアが、機械式時計を好む理由として「クォーツ時計と違って、動き続けているから」という理由を挙げる場合が多い。クォーツは水晶の発振信号で動くまでは確かに止まっているからだそうだ。また内部が見えるシースルーも、その機械式時計マニアの歯車が動いているところが見たいという希望からか人気が高い。けれど、ムーブメントを縦置きにした場合には歯車に遮られて完全に見えない。そこでエンジンの様に、横置きにしたことで歯車すべてを見えるようにしているというのが、この腕時計の画期的なところで、このType370がある種の機械式時計マニアの願望を完全に満たしているのは間違いない。
 そのように内部を見せるための時計であるため、その歯車のデザインも凝っている。この歯車は、ブガッティが1930年に初めて創作したホイールエンジンを模したモノとなっており、そこにはブガッティの著名なホイール穴もあいているのだ。
 そしてまた歯車プレートを支える支柱を固定するのに、わざわざネジではなくて、ナットを使っている。というのも、その方が車のエンジンに似せることが出来るからという理由だけでだ。そのために投入された技術や手間を考えると想像を絶するのだが。
 この時計が初めて日本で紹介された時に新潮社の「エンジン」などの車雑誌に掲載されたのはそのためでもある。内部機構の図を載せたら、ネジの巻き方が解説できなくなった。これも図を見せないと分からないので、また明日に。